NHKスペシャル 9秒台へのカウントダウン 10秒00に壁を作るか固執しないか?

8月19日の「NHKスペシャル」は、『9秒台へのカウントダウン』と題して、日本男子スプリンターへの密着取材の様子が放送された。

練習内容も紹介されたりしたが、レース中に自分の走りに集中する強いメンタルが必要といい、そのメンタルをどのように鍛えているかも紹介された。

陸上の100メートル走とは離れても、共通する部分もぼんやりながら感じられるので、そういう気持ち的な面を中心にメモしておこう。

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理論的にはストライドとピッチ

速く走るためには、ストライドとピッチをいかに高いレベルで両立させるかがカギとなる。

ストライドは長いままピッチを早くするための練習としてサニブラウン選手がやっていたのが、ドリルというメニュー。

たとえば、タタン、タタンと足を地面にたたきつけ、その反動で反対の脚を上げていく。

これにより、脚を前に送り出す感覚が身に着くという。

ピッチの優れている多田修平選手の母校・大阪桐蔭高校陸上部の練習メニューとしてクローズアップされたのは、ホッピング。

主に走り幅跳びの選手が行うメニューだが、短距離の練習にも取り入れられていて、下半身の強化につながり足の回転が速くなるという。

心の揺れが筋肉に影響

正常に走っているときは、脚のももの後ろの筋肉が動き、そのあと前の筋肉が交互に動く。

この筋肉への司令は脳から行われているが、自律神経も筋肉に重要な影響を与えることがわかってきている。

緊張やあせりが生じると、自律神経が作用し筋肉をこわばらせる「反射」という現象を過剰に引き起こす。

精神的なプレッシャーがかかると、本来交互に動くはずの筋肉が同時に動き、逆にスピードダウンしてしまうという。

ガトリンでさえも、2年前の世界選手権で「横を走るボルトが気になった瞬間集中力が途切れてしまい、本来の走りができなくなりスピードが落ちてしまった」と。

逆に今回の世界選手権では「自分の周囲が薄くぼやけて、自分が走るレーンだけ見える集中状態だった」「子どものころのように、タイムや他の選手を意識せず走っていたんだ」という。

細かく決めた動作を徹底的に覚え込む

外界への意識を消し内面に意識を集中するための練習として、呼吸や手足の動かしかたを5メートルごとに決めて、それを体で覚え込むことが紹介。

その練習中、コーチは心の持ち方を一切語ることなく、タイムも一切測らず、自分の走りだけに意識を向ける。

スタートダッシュでは息を止める、飛び出す角度は32度、最初の2歩は頭を下げたまま、太ももを素早く前に出す、15メートル地点で初めて息を吐く、20メートル地点で息を吸い、低い姿勢を維持したまま足の回転数を上げるなど、細かく決めた動作を徹底的に覚え込む。

それがどんな状況でも心を乱さない強靭なメンタルを生み出すという。

壁を作ってしまわない

9秒台に関して、朝原宣治さんは「特別な線をひかざるをえない感じになってしまった」と回想。

それに対して、サニブラウン選手は「その時が来れば出るかなと思います」、多田選手も「自然と走っている中で出せたらいい」とインタビューに答えていた。

ガトリンもサニブラウンについて「自分を信じ続けることができるかが飛躍のカギになる」と語っていた。

世界一を目指すスプリンターと比べるとこの上なく失礼だが、目標を作ったときにその目標を壁にしてしまわないように、できれば早めにクリアしたい。

失敗は当然何度も起こり得るし、そこから得られる宝もあるが、繰り返せば繰り替えずほど壁が高さと厚みを増してしまう。

決して心を乱してはならず、そのためには心に意識を向けることも大事かもしれないが、それ以上に、するべき動作を細かく決めて徹底的に覚え込むことが重要といえそうだ。

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