NHKテレビ「きょうの健康」腰痛徹底解説の4回目は、慢性腰痛の治療。
慢性腰痛とは、三か月以上続く腰痛のことで、良くなったり悪くなったりを繰り返す場合も含む。
3,000万人の腰痛のうち、半分が慢性腰痛と推計されるが、重い内臓の病気や脊椎の病気の場合もあるので、必ず一度は医療機関を受診する。
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慢性腰痛を起こしやすい人
慢性腰痛は、30~50代の都会の事務職に多い。
その理由は、おそらくストレスを抱えているためと考えられている。
慢性腰痛2つのケース
・腰に異常がないのに腰痛が続く
・腰の異常が治ったのに腰痛が続く
痛みを和らげる仕組みがストレスで働かなくなる
脳には腰痛などの痛みを和らげる仕組みがある。
腰から痛みの信号が脳に伝わると、脳からドパミンが放出される。すると、脳内でμオピオイドが大量に放出される。μオピオイドが増えると、セロトニンやノルアドレナリンが放出され、その結果痛みの信号を脳に伝える経路が遮断される。
この仕組みがあるため、腰痛に限らず、痛みが気になくなったり我慢出来たりする。
ところがこの仕組みを働かなくしてしまうのが、ストレスやうつなどの精神的要因。
こうした精神的要因を長い間感じていると、脳が影響を受けてドパミンが放出されにくくなり、痛みを和らげる仕組みが働きにくくなって、腰痛が長引いたり、わずかな腰痛でも強く感じたりしてしまう。
長引く腰痛の精神的要因度チェック
腰痛が長引く場合、ストレスやうつ、不安が関係しているかどうかを判断できる精神的要因度チェック。
「いいえ」は1点、「時々」は2点、「ほとんどいつも」は3点
(1)泣きたくなったり泣いたりすることがある
(2)いつもみじめで気持ちが浮かない
(3)いつも緊張していらいらしている
(4)ちょっとしたことがしゃくにさわって腹が立つ
(5)何となく疲れる
(6)痛み以外の理由で、寝つきが悪い
これ以降は、「いいえ」が3点、「時々」は2点、「はい、ほとんどいつも」は1点
(7)食欲は普通
(8)1日の中では、朝方が一番気分がよい
(9)いつもとかわりなく仕事がやれる
(10)睡眠に満足できる
15点以上で腰痛がある場合は、整形外科へ受診したほうがよい。
スポンサーリンク慢性腰痛の治療
慢性腰痛の治療の基本は2つ。
考え方の見直しと、適度な運動や楽しいと感じることを行うこと。
こうした方法で改善が見られない場合は、脳に作用する薬や痛み止めの薬を使うことがある。
考え方の見直し できるようになった=改善
考え方の見直しのベースとなる治療法のひとつが、リエゾン療法といい、整形外科医と精神科医が連携して治療を行う。
このリエゾン療法そのものを受けることはまだ現実的にはないが、その考え方を取り入れると、自分で慢性腰痛を改善させることが可能。
・全か無かでなくほどほどでOK・・・腰痛があるので全然仕事にならないという考え方ではなく、腰痛はあるけどこれだけ仕事ができたと考える。
・痛みのことばかり考えない・・・痛みのことや痛みを取ることばかり考えると、当然ストレスになる。
・実現可能な近い目標をつくる・・・家事ができなくて困ったら、家事ができるようになったから良くなったと考える。10分しか散歩できないなら、30分散歩できるようになったら良くなったと考える。
「改善=痛みをゼロにすること」ではなく「できるようになった=改善」と考えると、ストレスの悪循環を断ち切りやすい。
適度な運動や楽しいと感じることを行う
ウォーキングなどの適度な運動や楽しいことをすると、脳からドパミンが放出されるので、脳の痛みを抑える働きを活発にし、腰痛を軽減することが可能になる。
日常的に継続しておこなうことが大事。
以前犬を飼っていた人が再度犬を飼ったり、長年仕事がしたかったという人が仕事を始めたら、慢性腰痛が良くなったという例があるそう。
多くの場合、こういった何らかの解決策がある。
脳に作用する薬や痛み止めの薬
慢性腰痛に対する第一選択薬として最も使われているのは、痛み止めである非ステロイド性消炎鎮痛薬。他に、アセトアミノフェン、オピオイド、プレガバリンなどを使うことがある。
2016年3月に新たにデュロキセチンが保健適用になった。
デュロキセチンは、セロトニンとノルアドレナリンの放出を増やして、脳の痛みを和らげる仕組みを活発に働かせる作用がある。
まとめ
・痛みに対する考え方を見直す
・適度な運動や楽しいことを継続する
・適切な薬を使う
やっぱり運動や、そして自分が没頭できることをやり続けるのが大切だ。
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